2025.04.23

歯科医院をリノベーション
想いと伝統をカタチにした和カフェデザイン

歯科医院だった建物を、
“やさしい世界観”が広がるカフェへとリノベーション。

「子どもたちがよろこんでくれるような和カフェをつくりたい」
そんなオーナー様の想いからプロジェクトがはじまりました。

さらに、「店内のどこかに、自分が描いた絵を取り入れてほしい」
というご要望もあり、空間の随所にオーナー様の
個性が感じられる工夫を凝らしています。

観光地として人気が高まる富士五湖エリア。
世界各国から多くの人々が訪れるこの場所で、
山梨・富士五湖の魅力を知っていただきたいという願いとともに、
国籍を越えて、温もりと調和のあるひとときを
過ごしてもらいたい
という想いが、空間には込められています。

雷様の魔法のモナカを味わいながら、訪れた人々が自然と笑顔になり、
幸せな気持ちになってもらえる。

そんなシーンを思い描きながらの空間づくり。
まるでディズニーランドの「It's a small world」のように、
たくさんの笑顔が行き交う、世界とつながる
和カフェとなることを目指しました。

Before

カフェの中心に描かれた、富士山と雷様の世界

カフェスペースの正面にある長方形の壁には、オーナー様が描かれた
オリジナルの絵をデジタルプリントした壁紙を採用しました。

モチーフは、富士山の裾野やその周辺で戯れる雷様たち。
喜怒哀楽、それぞれの表情を持つキャラクターたちが、
訪れる人の目を楽しませてくれます。

この壁は、カフェスペースに入ったとき、またレジスペースからも
視界に入る位置にあり、空間のフォーカルポイント
(視線の集まる場所)としての役割
を持たせています。

奥行きを感じさせる視覚効果もあり、
空間全体に印象的なアクセントを添えています。

想いと自然と伝統が調和する、やさしい和カフェ空間

空間に寄り添う、オーナー様の想い

店内には、ブルーのメガネの雷様の姿も。

甘いものが大好きだったというオーナー様のお父様をモチーフに、
この雷様は、カフェを訪れる人々をやさしく見守ってくれています。

家具やファブリックスとの調和を大切にしながら、
空間全体に馴染むよう色のトーン
にもこだわりました。

富士山麓を感じる癒しのデザイン

天井の壁紙と床材には、富士山五合目付近で目にする
グレーがかった白い樹々の風景をイメージ
しました。

また、壁の一部に使われた緑の壁紙は、
その樹々に茂る葉っぱをモチーフにしたもの。

自然の中にいるような、穏やかでやさしい
空間づくりを目指しました。

郡内織物の刺繍が彩る、心くすぐる入り口

お手洗いの入口には、
郡内織物の伝統技術の刺繍を施した特製のれんを設置。

そこには、雷様のモチーフが丁寧に描かれています。
地域の伝統技術と遊び心が感じられる、
印象的なアクセント
になっています。

想い・自然・伝統がとけあう、やさしい和カフェのしつらえ

オーナー様からのご希望は、「訪れた方にゆっくりくつろいでほしい、
特にこどもたちがよろこぶお店にしたい」というものでした。

店内の窓については、壁にしてもよいとのご相談もありましたが、
自然光がもたらす心地よさを大切にしたいという想いから、
窓を残すことをご提案しました。

その窓には、南部の和紙アーティストによる
和紙のタペストリー
を取り付けています。

日中はやわらかな光が室内に差し込み、夕暮れ時には、
富士五湖の雲や雪など、移ろう自然の表情を感じさせる演出に。
光と和紙が織りなす、やさしく豊かな空間が広がります。

 

西嶋和紙(にしじまわし)は、戦国時代に始まったとされる
伝統的な和紙で、山梨県身延町にて今も手仕事で作られています。

本栖湖を有するこの地域の自然とともに育まれてきた和紙は、
職人によって一枚一枚丁寧に漉かれ、温かみのある風合いが魅力です。

今回は、その西嶋和紙をタペストリーとして取り入れ、
富士山にたなびく雲の様子をやわらかく表現
しました。

さらに、窓上部にはバランスカーテンを用いて、
少し雲がはみ出すようなデザインに。

静かな中にも動きのある演出が、空間に豊かな表情をもたらします。

 

向かいの壁には、郡内織物の傘地を使ったファブリックパネルを設置。

富士五湖の周辺には田畑が広がる、どこか懐かしい風景。
撥水加工を施す前の素朴な風合いが残る郡内織物で
ファブリックパネルに仕立て、この土地の風景や記憶を、
布にそっと写し込んでみました。

使用したのは、撥水加工前のシワ感のある傘地。
素朴な質感があたたかみを演出します。

郡内織物は、山梨県で400年以上受け継がれる伝統織物。
現在は環境にも配慮し、天然素材や再利用糸を活かした
サステイナブルなものづくりを行っています。

空間づくりにおいても、こうした伝統技術と地域文化の継承が、
未来へつながる価値になる。その想いをオーナー様にお伝え
しました。

 

富士五湖に自生するブナの木にちなみ、
店内にはブナ材を使ったペンダントライトを採用しました。

選んだのは、青森県のブランド「BUNACO(ブナコ)」。
製材時に残ったブナ材を活用し、らせん状に巻く独自技術で生まれた
照明は、軽やかでやさしい光を放ちます。

灯りがともると、まるでバームクーヘンのようなあたたかさ。
空間に自然と調和し、和カフェにぴったりの雰囲気を演出します。

お菓子のような照明とともに、
甘くてほっとする時間をお楽しみいただけます。

レジの背面の壁には、「Small world(いろいろな○)」が
たくさん増えていきますように。

そんな願いを込めて、色とりどりの輸入壁紙を採用。
国や文化を越えて、人と人がつながるようなあたたかさを表現ました。

また、レジ上部には富士山をモチーフにしたBUNACO(ブナコ)の
ペンダントライトを設置。自然と調和したやわらかな曲線と
木のぬくもりが、空間にやさしいアクセントを添えています。

店内の椅子には、さまざまな国の国旗の色を取り入れました。

世界中から訪れるお客様が、国や言葉の違いを越えて、
みんなで交わり、なかよく過ごしていただける空間を目指しています。

また、レジカウンターや物販スペースのカウンターは、
空間に合わせて設計した造作家具で仕上げ
ました。

木の質感や高さ、使い勝手にこだわりながら、
温かみと機能性を両立させています。

インテリアデザイナー目線で見る、こだわりの5つのポイント

1.アートを主役にした壁面で空間に個性と奥行きを演出

オーナー様の描いた絵を壁一面にプリントすることで、視線を集めるフォーカルポイントに。
喜怒哀楽を表現した雷様たちが、空間に遊び心とストーリー性を添えています。

2.自然を感じるマテリアルで、五感に響く空間づくり

天井・床には富士五合目の風景を思わせる木目やグレートーン、壁には葉をイメージした緑を配色。
視覚的な癒しだけでなく、素材の触感や光の透け感も重視しています。

3.和紙と光でつくる、時間の流れを感じる演出

西嶋和紙のタペストリーを用い、自然光とともに表情が変わる“動きのある壁面”を構成。
昼と夕暮れで印象が変わり、訪れるたびに違った雰囲気を楽しめます。

4.地場のテキスタイルを活かしたサステイナブルな装飾

郡内織物や傘地のファブリックパネル・のれんを随所に取り入れ、地域の伝統工芸をインテリアの中に。
視覚効果だけでなく、文化的背景のある素材で空間に奥行きを生み出します。

5.多様性を意識した色使いで、国際的な親しみやすさを表現

椅子に国旗をモチーフにしたカラーリングを採用。
素材のバランスと色の配置を工夫し、にぎやかすぎず調和のとれたカラーパレットで空間にアクセントを加えました。

地域の素材や文化を活かしながら、
まるで絵本の中にいるようなやさしさと遊び心にあふれたカフェ空間が完成しました。

和と洋、自然とアート、そして世界中の笑顔がつながる場所として、
店舗デザインや空間づくりのヒントにしていただけたら幸いです。

 

富士山の麓の「和菓子&カフェ』の店
さんづくり 様

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